君たちは「タバコを吸いたい。」と思ったことはないかな。映画やテレヴィの中で主人公が、かっこよく?吸っているのを見ると、「吸ってみたいな。」と思っても不思議はない。また、テレヴィのコマーシャルの中で、すごく長身のハンサムな若者が、美人のそばで煙をくゆらせているのを見ると、「早く大人になって吸ってみたいな。」と思っても自然かもしれない。さらに君たちの周りには、いくらでもぷかぷかとやっている人がいる。この私も、ずいぶん若いときから20年以上もタバコを吸ってきた人間だ。
そのころ、周りにいたタバコを吸わない人が、私がタバコを吸うのを見て、実に嫌そうな顔をしていた。また、別な人はすぐに立って窓を開けに行ったり、手を顔の前で揺らしたりしていた。その時私は、「嫌みな人間だなあ。」とか、「オーヴァーでわざとらしいなあ。」と思って、相手の心中など気にも留めていなかったものだ。自分の妻とさえ「吸う。」「吸わないで。」と口げんかしたことも多々あった。こうして多いときには、一日に40本も吸ったことがあった。
今から15年ほど前に、体調が悪い日が続いたことがあった。風邪はよくひくし、一度ひいたらぐずぐずしてなかなか直らない。喉(のど)はすぐ痛くなるし、時々軽い咳(せき)が出る。朝に歯を磨いていたら、吐き気がすることがあった。さすがに、「タバコを止めようか。」と思うようになっていた。このころには、新聞やテレヴィでタバコの害が当たり前のように言われるようになっていた。
医者が話すタバコの害について分かりやすいタバコの害について
そこで「禁煙」、いやむしろ「断煙」というべきか−を始めることにした。しかし心の「強制力」がほしかったので、職場の同僚で止めたがっている人と話し合って、二人同時に止めることにした。そして「ペナルティー」まで決めてしまった。これならお互いに意地を張り合って、吸わないですむと思ったのだ。
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