17 夜店で値切って買った「三蔵法師」
ホテルの中にも土産物店はあったが、夜に目抜き通りに露店が出ると聞いて出かけた。日本の夏祭りに古道具を並べた感じである。商品は、チベットラマ教のマニ車、お経の古版木、玄奘三蔵が馬に乗ったしんちゅうの置物、刺繍入りのハンカチ、翡翠(ひすい)の置物や日本でも余りにも有名な夜光杯等々、品数は豊富である。観光客、特に日本人を上客にしているので、あちこちから日本語が飛んでくる。「コンニチハ」「コレヤスイヨ」・・。
値段を聞くと、物価が安いはずの中国にしては、高い値段を言ってくる。「要らない」と言うと、「いくらなら買う?」と必ず聞いてくる。原価がいくらより、客の購買力で値をつけている。この買い方はシンドイ。中国通の方に聞くと、市価の十倍の値段を言うらしい。私は、敦煌に来た思い出の品として、三蔵の置物が欲しかったので、聞くと「日本円3000円」という。まだ高いとは思ったけれど、2000円まで値切って買ってしまった。私が交渉している間に、店の仲間同士で「値を下げるな」と中国語で連絡しあっている。なかなかしたたかである。一般に日本人は金払いがよく、あまり値切らないので、「良いお客さん」なのだという。
真鍮の三蔵(筆者写)