ブルク庭園のモーツァルト像
Mozarts Denkmal
衛星写真と地図(Google) |
一度この街を歩いたことのある人なら分かるが、歴史の古い一国の首都としては、大きすぎず小さすぎず、リンク(環状道路)の大通りを軸に落ち着いた佇まいを見せ、歩くたびに何か歴史に由来するものにさりげなく出会える−そんな街である。そういう中で中心部(シュタットミッテ)のその中心に存在するのが、聖シュテファン大聖堂(ザンクトシュテファンスドーム)である。そしてそれに近い所に位置するのが、ヴィーン国立歌劇場(シュターツオーパー)である。いわば「音楽の都」のまた中心といえるだろう。旅行者はここを振り出しに観光に入ることが多い。位置的にも、目印としても、分かりやすいからである。
そこからオーパーリンクに沿って歩き始めると、まず出会うのが文豪ゲーテの座像である。そのそばのブルク庭園にはモーツァルトの立像がある。四月になったばかりで、まだ完全とはいえないこの国の春だが、像の傍の大きな木はもう黄色い花を開かせているし、像の前のト音記号にデザインされた花々は、すでに満開になっていた。ベンチには、やっと訪れた春を惜しむように老夫婦が腰掛け、日がな一日周りを眺めている。
逆に、国立歌劇場から反対側のケルントナーリンクの方に歩くと、コンツェルトハウスの近くにはベートーヴェン(正しくはビイートホーフェン)の像があり、さらに向こうの市立公園には、作曲家ヨハン=シュトラウスやブルックナー、シューベルトの像がある。それらが誠に自然に街の景観に溶けこんでいて、意識せずとも「音楽の都」を肌で感じさせてくれる。
|