「日帝」＝日本帝国による長い朝鮮人民支配の時代、その牙城となったのがこの刑務所であった。愛国者を含めた多くの朝鮮の人々が連行され、拷問暴行を受け、この場所で処刑された。そういう意味では、この刑務所こそが誇り高い朝鮮、韓国の人たちの怨嗟の声が向けられた場所であったといえよう。 　既述の如く、ここは日本敗戦前に証拠隠滅のために土で埋められ、書類は焼却処分された。ちょうど中国・旧満州の大日本帝国陸軍７３１部隊が、「人体実験」の証拠隠滅のため、施設を破壊したのと同様なことを行った。ヨーロッパでは旧ナチ（ス）が敗戦直前、強制収容所を破壊したように、侵略者破壊者はいつの時代も、行動は同じである。 　韓国民はそういう破壊を修復し資料を収集して、朝鮮民族の歴史の大事な一部として、子々孫々、子どもたちへの歴史教育の材料として、建物を「歴史館」として永久保存することにした。因みに、この刑務所のある「獨立公園」は、他に独立宣言記念塔や獨立門など「朝鮮民族」のアイデンティティーを保持する大切な財産が多くある。そういう意味では、獨立公園すべてが「民族の財宝、心のよりどころ」といってもよい。 　この刑務所の簡単な歴史は、下記のサイトの「刑務所の歴史ページ」に分かりやすくまとめてあるので、引用転載したい。

ソウル市・公園局公式サイト 西大門刑務所歴史館サイト

ソウル特別市西大門区冥底洞101番地に位置した西大門刑務所は、大韓帝国の末頃に日帝の強圧によって監獄が建てられた以来80年余り、 韓国の近現代史の激動期における受難と民族の恨 (ハン)が滲み混んでいる歴史の現場であると共に、 韓民族の抗日独立運動に対する日帝の代表的な弾圧機関である。 　日帝は韓国を強制的に占領し、 この地を足掛かりとして大陸へ侵略しようとする野慾を本格的に展開する一方、 その侵略に抵抗する数多くの愛国志士たちを投獄させるための監獄の必要性を感じるようになった。 それで大韓帝国時代に自主独立の象徴として建立された独立門の近くに1907年より大規模な監獄を建て始めた。 　この監獄は、日本人の設計により当時の貨幣で約5万圓をかけて建てられ、 その規模は480坪の監房と80坪ぐらいの附属施設であり、収容人数は500人余りであった。当時、 全国8ヶ所にある監獄の総計収容人数が300人余りに過ぎなかったのと比べると、 どれ程大規模な監獄であったかが察せられる。 　1908年10月21日、京城監獄という名で活動し初めた。韓国の国権が日帝に奪われると、 これに抗う民族独立運動が全国で激しく起り、 日帝は数多くの祖国愛国志士たちを逮捕・投獄した。 しかしその収容人数が増えると、麻浦区孔徳洞にもう一つの監獄が建てられた。そして1912年9月3日、西大門監獄とその名が変わる。 　1923年5月5日、西大門刑務所とその名がさらに変り、1945年8月15日の終戦まで数多くの愛国志士が投獄され、拷問を受け処刑されたり獄死した悪名高い場所である。 　以後その名は1945年11月21日にソウル刑務所、1961年12月23日にソウル矯導所、更に1967年7月7日にはソウル拘置所と次々と変わり, 1987年11月15日にソウル拘置所が京畿道儀旺(ウイワン)市に移していくまで、まさにその名の変りのほど数多くの民族受難の歴史を納めたまま1992年8月15日、「西大門独立公園」として開園するに至った。 　 　1987年に京畿道儀旺市へ移る時、獄舎は全部15ヶ棟あったが、 現在はその歴史性と保存の価値を配慮した上、7つの棟のみ原形のまま保存されている。 中でも獄舎3ヶ棟(第10、11、12獄舎)と死刑場は1988年2月20日に史蹟第324号と指定された。 　西大門区では1995年より西大門独立公園の史蹟地に対する聖域化事業に取り掛かった。 祖国の独立のため日帝の侵略に対抗し戦いながら投獄され、酷い拷問と弾圧を受けた末、 殉国した愛国先烈たちの魂を慰めると共に、先烈たちの自主独立精神を教え悟らせる、 生き生きとした歴史の教育場として改造され、 「西大門(ソデムン)刑務所歴史館」として新しく生れ変わり開館されたのである。