パナマだより 9号(最終号)
今年6月28日に二年の任期を終えて帰国しました。最後のパナマ便りを帰国前に出したかったのですが、忙しさにとりまぎれて帰国から一か月以上たった今、皆様にお送りすることになりました。
1.よびかけ言葉と敬称
日本は人に呼び掛ける言葉が少ないように思います。「あなた」、とか、「お客様」、などはよく使われますが、「おう、そこの若いの」とかいうのはあんまり使われませんね。パナマでは呼びかけ言葉は結構たくさんあり、良く使われもします。
また、人の名前を正式に呼ぶ場合は敬称が必要になります。ミスターXXとかいうあれですね。以下に呼びかけ言葉と敬称を紹介しましょう。
<呼びかけ言葉>
・Señor, Señora,
Señorita セニョール、セニョーラ、セニョリータ
英語のMr, Mrs, Missに相当します。名前を知っている人は名前で呼びます。「もしもし、そこのあなた」、という場合にはこの呼び方になります。年上の人へのていねいな呼び方として、セニョールやセニョーラが使われることもあります。
・Amigo, Amiga アミーゴ、アミーガ
「友人」と言う意味ですが、知人に対して呼びかける時に使います。男性はアミーゴ、女性はアミーガです。オの段で終われば男性、アの段で終われば女性です。街中で知らない人から言われたら、言った人は「ポン引き」の可能性もありますから用心した方が良いでしょう。
・Hermano, Hermana エルマノ、エルマナ
「兄弟」という意味で、実際の兄弟同士の呼び掛けにはもちろん使いますが、親しい友人の場合も使用可能なようです。アミーゴと同様、知らない人から言われたら要注意。
・Paisano, Paisana パイサノ、パイサナ
「同胞」という意味です。知らない人とすれ違いざまによく言われます。「おはよう」ぐらいの軽い挨拶と思っても良いでしょう。若干「おれと同じ貧しい人」(あるいは庶民)というニュアンスも込められている気がします。と言うのも、たいてい労働者風の人から言われる言葉で、ジャケットを着た人に言われたことはないからです。
・Corazón コラゾン
心臓という意味ですが、「私の大切な人」という意味で使われることがあります。
・Compañero, Compañera コンパニエロ、コンパニエラ
同僚という意味です。親しさの表現としても使われます。
・Joven ホベン
「若いの」というくだけたいい方です。目下の人に対して使われます。大衆食堂でウエイターを呼ぶときなどにも使います。
・Chico, Chica チコ、チカ
Jovenとほぼ同義に使われますが、よりかわいい言い方です。Jovenはややマッチョな言い方と言えます。チコは小さいという意味で、たとえば「コーヒーを小さいカップでひとつください」という時には、ウンカフェ、チコ、と言います。
・Muchacho, Muchacha ムチャチョ、ムチャチャ
勤務先の大学では学生を指すときにこの言葉をよく使います。呼びかけ言葉としても一般的です。ChicoやJovenと同じく、若い人たちに対してよく使われる言葉のようです。
・Amor アモール
アモールは愛のこと。恋人や仲の良い夫婦の呼びかけとして使われます。
<敬称>
・Señor, Señora,
Señorita セニョール、セニョーラ、セニョリータ
Mr. Mrs, Missと同じです。
・Maestro, Maestra マエストロ、マエストラ
学校の先生や何かを教えてくれる人に対して使われます。修士の称号としても使われます。修士の場合はMgterと書くこともあります。
・Doctor, Doctora ドクトール、ドクトーラ
日本と同じく、博士号を持っている人あるいは医者に対して使われます。
・Profesor, Profesora プロフェッソール、プロフェッソーラ
スペイン語では先生はProfesorで、英語のTeacherとProffesorの区別がありません。小学校の先生ももちろんProfesorです。英語圏ではProfesorの地位は高いですが、スペイン語圏ではそうでもないということになります。
・Capitán カピタン
船長や機長に対する敬称です。敬称としては上位に属します。そのほか職名の呼びかけとしてPresidente(社長、大統領)なども使われることがあります。
・Ingeniero, Ingeniera インヘニエロ、インヘニエラ
中南米特有の敬称と言えます。インヘニエロはエンジニアのことですが、専門知識を持った高い地位の人、技師長、あるいは技術系や専門職の重役に対して敬称として使われます。私が着任した頃は「セニョールタナカ」で呼ばれていましたが、時間が経つにつれて「インヘニエロタナカ」に昇格しました。
・Director, Directora
課長、部長クラスの職名ですが、敬称としても使われます。
2.フィエスタ(パーティー)
パナマの人の楽しみのひとつはフィエスタ、つまりパーティーです。特に多いのが誕生日パーティーで、前号でも取り上げましたが、職場では朝開催されることが多いですが、夜のこともあります。私も一人暮らしという事情もあり、ときどき人を呼んで飲んだりしました。以下にいろいろなパーティーを紹介しましょう。
家内が帰国するということで若い人が集まって送別会
日本から来客。日本酒を持ってきてくれて若い人が集まった。
お世話になったパナマ人の家族を呼んで
誕生日パーティー。はりこんでホテルのバーで行った。
マリアッチの流しのバンドと誕生日の本人。
事務所の誕生祝朝食パーティ。
バンドの練習後ちょっといっぱい、というパーティー。
事務所のクリスマスパーティー。これは昼だった
若い人を呼んで飲み会。結婚の話で盛り上がる。
青年海外協力隊が主催した日本文化紹介の行事のあと、
関係者のご苦労さんパーティー。私は料理担当で寿司を作った。
知人の息子の誕生日パーティー。これは夜にあった。
帰国するボランティアの公式送別会。ちょっと高級なレストランで昼食。
大学全体のクリスマスパーティー。大学のきれいどころたち。
このあとダンスが始まった。
3.中国の影
パナマは2017年6月12日に中国と国交を結んだと発表した。パナマは一つの中国を支持しており、従って台湾とは断交することになる。
私はこれまでに勤務先の大学の様々なイベントに参加しました。エンジンの起動デモ、学生からの感謝状の授与、電機に関する講演、父の日のイベントでのバンド演奏、研究活動への寄与に関する学長からの記念品贈呈などです。
このようなイベントが行われると、UMIP(パナマ海事大学)の広報グループが写真やビデオを撮影します。私の関与したイベントの写真も広報部がたくさん撮って行きました。普通ならFacebookやTwitterのUMIPのページにこれらが掲載されます。ところが、私が表に映っているイベントの写真やビデオは一切これらのページには載らないのです。
あんまり気にはしていなかったものの、離任直前の私の活動がかなり派手だっただけに、それが載らないのは何か理由があるのではないか、と疑いを持ちました。
Facebookでは韓国の商船大学との交流が載っています。また、学長は近々中国を訪問するといううわさも聞いています。もし訪問すればそれもここに載ることになるのでしょう。
中国や韓国の関係者はおそらくこのFacebookやTwitterのページに注目しているでしょう。全くの推測ではありますが、同じページに、JICAのボランティアが活躍しているという事実が載っては決定的にまずいとUMIPが考えているのではないかと思っています。
中国は今世界中に資金をばらまいて中国との関係を結ぼうとしています。巨大な国を養って行くためには世界中に大きな市場が必要になるのでしょう。もちろんパナマ運河も中国にとっては重要なポイントです。パナマを抱き込むための手は着々と打たれているようにも思われます。
パナマでは日本の資金供与による鉄道3号線の建設が本格化しようとしています。しかし現段階では実際に工事をするのが日本の企業であるかどうかは決まっていません。今は見積もりの段階なので、調査費用はすべて日本の企業の持ち出しです。もし見積もり資料が中国に漏れた場合は(それは十分あり得ることのように思えます)、インドネシアの高速鉄道と同じように「とんびにあぶらげ」になる可能性も否定できないように思われます。
パナマにある大きな中国人学校には台湾の旗が掲げられています。これは今後どうなるのでしょう。しのびよる中国の影は、もはや影ではなく現実のものになりつつあるようにも思われるのです。
4.パナマの公共交通
最近首都には地下鉄が通ったとはいえ、これはごく一部の区間で、パナマの公共交通機関は主としてバスとタクシーです。バスの料金は市内均一25セント、高速道路を使うバスは1ドル25セントです。日本のバスに比べてかなり安い乗り物です。タクシーも私が通勤の時に乗ったりする程度だと2~5ドルというところで日本の基準から見ると大変安い乗り物です。経済弱者に対するセーフティーネットとして料金を安く抑えているのではないかと思います。ちなみに地下鉄は35セント均一料金です。
パナマの地下鉄
五六年前までは通称ディアブロ・ロホ(訳すと「赤い悪魔」)と呼ばれるバスが公共交通のほとんどを担っていました。ディアブロ・ロホは交通局の管理下にあるものの、個人の運転者がバスを携えて商売をしているいわば出店型の営業です。従ってバスの管理は所有者がやっていて、自由に派手な塗装を施し、車内には好みの音楽をガンガン鳴らし、中にはあまり整備が行き届かずにぼろぼろのシートだったり、床に孔があいていたり、といった状態でした。その名の通り、運転は荒く、運転手の対応は乱暴で、よく事故もありました。このバスはアメリカのスクールバスのお下がりで、出入り口が前方に一か所しかなく、混んでくると乗り降りが大変です。座席は右に二人、左に三人のシートがありますが、これは子供が座る場合の基準の寸法ではないかと思います。よく太ったパナマのおばさんがよっこらしょ、と座ると大変窮屈になりますが、それでも皆おしあいへしあいしてなんとか座ります。
混雑の中でパナマ人と同じようにふるまうのはストレスも多く、渋滞でなかなか前に進まない、冷房もきかないし、といった具合で、このバスにはめったに乗りませんでした。そのかわり歩いていたわけですが、歩く方が遅いとは決して言えないような交通状態だったので、歩くのも快適だったのです。今は多少交通状態が改善されて、歩くよりはバスの方がちょいと早い、ぐらいにはなっています。
ディアブロ・ロホ
ディアブロ・ロホ 夜間
ぼろぼろのシート
バス同士の接触事故
メトロバス(うしろはディアブロ)
しかし、その後、政府が運営するメトロバスという近代的なバスが走り出し、現在では首都のバスのかなりの車両がメトロバスになりました。このバスはバスカードで乗車し、座席はゆったりしていて、乗車口と降車口が分かれており、冷房もきいていて、ディアブロの時代に比べれば大変楽です。
このバスが走り出したころは、「メトロバスはディアブロのような乱暴な運転はしない」という思想があったと見えて、ディアブロの乱暴な運転を横目に、大変行儀の良い運転をしていました。ところがほとんどのバスがメトロバスになってしまうと、もとのパナマ人気質が再燃してきたらしく、今は暴走、急ブレーキはあたりまえで、中には生き残りのディアブロとバスチェイスをやるものまで現れ(先日、いつもなら20分ぐらいかかるところを12分ぐらいで突っ走ったバスに乗った。このときは本気で身の危険を感じた。)、車内では常に何かにつかまっていないと危ないような状態になっています。メインテナンスが悪くて冷房のドレンがびちゃびちゃ座席の上に漏れて来るなどというのも最近はよく見かけます。
地方に行く長距離バスは日本でいう観光バスのタイプ、もしくはマイクロバスです。二階建てのバスもあります。大型のバスは快適ですが、少々冷房がききすぎていることがあり、はおるものが必要です。
このタイプのバスの多くは韓国製のようです。上の写真は私の乗った長距離バスが途中で冷却水温が上がって走れなくなってしまい、救援のバスを待っているところです。これに限らず、バスの故障はよくあり、その場合は途中で降ろされることになります。
5.パナマは変わる
私は2011年3月から2013年3月までJICAシニア海外ボランティアとしてパナマに住み、パナマでボランティア活動をしました。その後二年ほど日本で仕事をしたのですが、縁あって再度、2015年6月から2017年6月までパナマで同じシニア海外ボランティアとして活動しました。
2011年にはじめてパナマに来た当時のことを思い起こしてみますと、この5年でいかにパナマが変化したか、ということをひしひしと感じます。
私がまだ小学生の昭和30年代ころは、日本が敗戦から立ち直って復興に転じた時代でした。そのころの日本はものすごい勢いで変わっていました。小学校一年の時メダカをすくった小川が小学校二年の時はコンクリートで固めた用水になっていた、というのが一番記憶に残っているできごとですが、道路が舗装され、木造家屋がビルとなり、バスは国産のバスになり(それまではアメリカのトレーラートラックを改造したトレーラーバスと言うユニークなバスが走っていました)、鉄道は新しい車両が導入され、自宅には電気冷蔵庫が現れ・・・といった具合でした。新しい科学技術が輝いて見え、それもあって私は技術者になったのだろうと思います。
そのころの日本を髣髴とさせる情景がパナマにあります。パナマもすごい勢いで変化しているのです。新しいバスが走り、地下鉄ができ、ビルが建ち、道路が立体交差となり、新しいパナマ運河のレーンができ、風力発電所が建設される等々その変化は目を見張るばかりです。
最初に泊まったホテルから日本大使館方面を望む。左:2011年3月、右:2015年6月
そのようなハード面の変化とともに、ソフト面と言いましょうか、人々の意識の変化もまた着実に起こっています。いくつか例を挙げましょう。
(1)スーパーのレジ(これはパナマ便り5号に書いたことですが、典型的な例なので再掲させていただきます。)
私が最初に2011年にパナマに来たとき、スーパーマーケットのレジ係は愛想もへったくれもなく、仕事に対する敵意をむき出しにして我々が買ったものをなかば放り投げるような扱いをしていました。もちろん「ありがとう」などとは口が裂けても言いません。ところが最近ではレジに行くと「おはようございます」とまず言われ、最後に「ありがとうございました」と言われるのが普通になりました。
(2)買い物の際の所持品
パナマでは手提げ袋やリュックサックなどを商店の売り場に持ち込むことはできないのが普通です。あらかじめ荷物の預け入れ所に行って荷物を預けてから売り場に入ることになっています。これは万引きを防ぐためでしょう。
ところが最近、高級店では荷物を持ちこんでも文句を言わなくなりました。一部のスーパーでも荷物を預ける必要がないところも出てきました。そういう店では防犯カメラの設置、従業員の常駐、小さい商品は現物を置かない、などの対策をしていますが、手荷物を預け入れるための人員にかかるコストや客を信用していないというイメージの悪化などのデメリットよりも、「あなたを信用していますよ」というサインを出すことのメリットの方をとるようになったと考えられます。
(3)盗難に合う品物
2011年に来た時は、街なかでカメラを使ったり、人前で電子辞書で言葉を調べたりすると盗難に合うからよせ、と言われました。確かに「旅行者」と見られると目を付けられやすいので気を付けなければなりません。しかし最近では、コンパクトのデジカメ、電卓、ガラケータイプの電話機などは盗難に合う確率はだいぶ低くなったように思われます。これらの品物はパナマの人にとっても手に入りやすくなり、盗品を売る手間のわりに儲けが少なくなったのでしょう。スマートホンは盗難にあうケースも多いですが、一方でパナマの人達も街中で平気でスマートホンを扱っています。私の持っているガラケータイプの電話機など、今は持っている人をさがすのが困難というくらいです。そのうち骨董品として盗難にあうかもしれません。
(4)労働の質
最初にパナマに来た時に比べ、二回目に来た時は私の技術を学ぼうとする意欲が各段に増したように思います。これは私の教える内容の価値が上がったのだと勝手に喜んでいましたが、そうではなく、パナマの人が「労働の質」ということに目覚めたのではないか、そうして、自分の仕事の質を上げるために積極的に私に学ぼうとしはじめたのではないか、という気がしています。
(5)歩行者優先
パナマは車優先社会です。今でもそうではありますが、特に首都では歩行者に道を譲るという傾向が顕著に見られるようになってきています。道をわたろうとすると車が止まってくれることが多くなったのは明らかに感じます。道を譲らないのはタクシーとパトカーです。男性の運転者の方が女性の運転者よりも道を譲る確率は高いようです(女性をおとしめるつもりはありませんが客観的に見てこのような傾向にあります。レディーファーストの習慣がこのような時にも表れるのだろうと考えます。)。
(6)クラクション
渋滞になるとやたらにクラクションを鳴らすというのが以前のパナマのドライバーでした。鳴らしてみたところでどうにもならないのはわかっているのに「馬鹿だなあ」と思っていました。ところが最近は多くの人が渋滞でもおとなしく待っているのです。だいぶ大人になったようです。
(7)健康志向
パナマの人は太っている人が多い。一度数えてみたことがありますが、三十代以上の女性の三分の二は明らかに太りすぎで、そのうち半分は身のこなしもままならない程太っています。男性は肉体労働者も多いせいか、太りすぎの人は二分の一以下と思います。
ところが、最近は肥満が健康に良くないという意識が出てきたのか、「ダイエットをしなくちゃ」という声をよく聞くようになりました。コーヒーを砂糖を入れずに飲むというのは5年前では考えられない暴挙でしたが(パナマでコーヒーを注文すると砂糖の袋が三つ付いて来る)、最近は砂糖なしでコーヒーを飲む人もちらほら見かけるようになってきました。若い女性にはスタイルの良い女性も増えました。もっとも「あれはコロンビアーナだよ」と言うパナマ人もいます。(コロンビアは美女の産地として有名)
(8)自動二輪車と自転車
地方では以前から自転車は交通手段としてよく使われていましたが、首都では交通事情の問題で自動二輪車や自転車は見かけることはありませんでした。以下は首都での事情とご理解ください。
2011年にパナマに来た時、公道で自転車を見たことはないと思います。自動二輪車も極めてまれでした。しかしその後、スポーツとして自転車に乗る人を見かけるようになりました。これらの人はスポーツタイプの自転車に乗り、十分な脚力で自動車と伍して走ることのできる人達です。
ところがほんのここ半年ほどの間に「実用としての自転車」を見かけるようになりました。交通事情が厳しい中、依然として自転車は危険な乗り物ではあるものの、自転車が走れるレーンが増えたことや、渋滞がますますひどくなっていることなどから、実用としての自転車が注目され始めているのではないかと思います。
自動二輪車はピザの配達や通勤に使われるようになってきています。以前とは比べ物にならないほどの数の自動二輪車が走るようになりました。渋滞のひどいパナマ市内では自動二輪車のメリットは大きいでしょう。
(9)治安の悪化
パナマの変化についていくつか例を挙げました。これらの変化は先進国化、という方向で、我々にとってはパナマの居心地を良くする方向だと思います。所得の増大と物資の拡充が働く人たちの余裕となっているのかもしれません。
しかし一方で所得格差が広がりつつある可能性も否定できません。首都に住む人の一部には格差の広がりによる治安の悪化を懸念する声も聞かれます。日本大使館からの情報では、麻薬による汚染やプロの殺人者による殺人などの例が紹介されています。
パナマの変化のうち、私が最も印象深く思うのは、「働いている人が楽しそうに見えるようになった」ということです。以前は働くことに敵意を持ち、客をないがしろにして最低限の手間で働こうとするのが一般的でしたが、最近は客と冗談を言い合ったり、笑顔を見せ合ったりしながら楽しそうに働く人も増えました。これは本当にすばらしい変化だと思います。
6.パナマの習慣(日本と違うやりかた)--Panama Tips
① マーカーペンの呼び名
日本では油性のマーカーペンをマジックと言って通りますね。これは日本で最初に発売された寺西化学工業のマーカーペンの製品名が定着したものです。
パナマではマーカーペンをピロトと言います。「そこのピロトをとってくれ」と言われて何の事だかわからなかった経験があります。ピロトとはパイロット、つまり日本の大手筆記具メーカーのパイロット社の名前に由来しているのです。(ちなみに海賊はピロトの女性形でピラタです)
②蚊取り線香
パナマにも蚊取り線香があります。蚊に刺されるとデンゲ、マラリア、ジカなどの病気をもらう可能性がありますから、蚊対策はパナマの人にとっては大事です。パナマの蚊取り線香の匂いは日本のそれとは少し違い、ちょっとスパイシーな感じがします。一晩目は匂いが気になりましたが、二日目からは気にならなくなりました。
③交通マナー
パナマに初めて来た人には、パナマではクラクションを鳴らされたらすぐに止まるように、と最初に言います。パナマではクラクションは優先権の主張なのです。
パナマで70%の車は交差点でウインカーを出しません。これはロータリー交差点が多いことが影響しているように思われます。ロータリー交差点では車同志は必ずしも意志をはっきり示さなくても走り抜けることができます。問題はそこに横断歩道がある場合です。歩行者はウインカーをあてにできないので、その車が曲がってくるのか、直進(周回)するのかがわからないのです。
(下の図は日本人にわかりやすいように左側通行の場合を示します。
実際にはパナマは右側通行です。)
(完)
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