「世界は神が創造し、オランダは人間が作った」
空から見る埋め立て地「ポルダー」

 搭乗機はオランダの首都アムステルダムのスキポール空港に向かって高度を落としてゆく 機窓から見下ろす大地は見飽きない 何故なら、海があり堤防があり小運河に寄って分けられた長方形の土地がある そして農家や集落、ため池、牧場、工業団地などが鮮明に見えてくる こういう景色は他の国でもあまり見られない それは視界内の「水」の多さから来る

 私たちは学校時代、社会科の授業で必ず習った単語がある それは入試でもよく登場した 「ポルダー」である オランダはむかしから土地が狭く人口密度が高かった そのため海を仕切り、堤防を造り、内部の人造湖を埋め立て、土地を広げてきた そういう集大成がポルダーである 口で言うのは簡単だが、実は埋め立ては大変な時間と労力を要した

 狭い土地の国民は一方で「海外進出」の道も選んだ 「オランダ東印度会社」も長崎出島の通商・貿易もこの国の実利主義である おかげで日本は江戸期「鎖国という閉鎖社会」でも何とか世界の趨勢に付いてゆけた

 カトリックの宗主国スペインと戦って独立を得たプロテスタントの国民は、また勤勉と節約、貯蓄の志向が強かった 今でも「ダッチ・アカウント」(割り勘)という言葉が世界中に定着しているように、良い意味の「ケチ」に徹している

 だからと言って、生活は決して惨めでも悲惨でもない 人々はエコロジーに徹し、決して「アメリカ型物質文化」には組みしない 簡単に言うと、「足が地に着いた」生活態度である 国土の最高地点が60mに満たない土地にあって、自転車は家族が利用する最もポピュラーな乗り物である 狭い土地でも歩道、自転車道が区分され、日本のような「歩道で歩行者が自転車に撥ねられる」という事故は多くない

 日本のように24時間開業のコンビニもなく、国道沿いにはドライヴインも殆ど無く、「外食産業」も繁栄していない これも「質素倹約」の精神だろう こういうオランダだが、こういう言葉がある 上のタイトルだが、「世界は神が創造したが、オランダは(オランダ)人が作った」 この言葉に彼らの誇りが見えるようである



      
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