アルジェリアでもっともサハラ寄りのローマ遺跡・ティムガドの円形劇場

 アルジェリアといえば北アフリカのイスラム教国だが、「サハラ砂漠の国」とか「カスバの女」くらいでしか日本人には馴染みがないことが多い その国も他の地中海岸の国と同様に、二千年くらい以前は「大ローマ帝国」の植民地であった

 この国にも他にティパサ、シェルシェル、ジェミラなど多くの都市跡(遺跡)が残されているが、ティムガドがいちばんスケールも大きく、比較的よく残っている この写真でも左上の凱旋門や右上の神殿跡と思しき柱などははっきり認識できる この円形劇場も各国のローマ遺跡に必ずある劇場のひとつであるが、仏・アルルなどヨーロッパではなく、六百年もイスラム支配下にあった物としては状態は良い 

 イスラムは「偶像崇拝禁止」であるから、ローマ人の好きだった皇帝や英雄の全身像などは壊され首は刎ねられたが、建築物などは幸運にも残された また当地ではないが、エジプト女王・クレオパトラ七世の首像
(伝)が残ったのも歴史では幸運といえよう

(注:現イスラム国に残った円形劇場としては、トルコのエフェス遺跡の物がさらに規模も大きく保存も良い)

 此処へは首都アルジェから東方のティジウズ、セティフやバトナなどを通って行く ここはアトラス山脈の一部でオーレス山塊の一帯にあるが、山々は険しく谷は深く、昔なら越えることも大変だったに違いない 山を越えると高原が開ける そういう場所にティムガドはある 近くには大きな岩はない 遠くに見える山々から運んだのだろうが、それだけ考えても「ローマは偉大だった」と言わざるを得ない

--世界遺産--
World Heritage

内部リンク:ローマ遺跡・ティムガド, Roman Ruins Timgad (Algeria)


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